プラクシス:フィールドレコーディング「記号」

風が強い日、湖岸に打ち寄せる波は、いつものさざ波を潜ませていた。

見たもの:眼に届いた電磁波
聞いたもの:耳に響く音波
感じたもの:心に染み込む感情

しかし、それらはそのままでは他者に届かない。
言葉も写真も音源も、現象を記号へ変換する装置──経験はここで媒介される。

フィールドレコーディングは、そのプロセスを最も端的に示す営みだ。
刻まれた波は記号となり、再び体験として甦る。
その瞬間、メディアは単なる記録装置ではなく、経験の触媒と化す。


<読書案内>
「現代思想の教科書」石田英敬著、ちくま学芸文庫
記号論・メディア論と現代思想を絡めて大枠を学ぶのに最適。
それ以上は、この本の巻末にある読書案内は参照されたし。
この分野は、近著でアップデートしていくことを推奨。


筆:Mika Ojanen(ミカ・オヤネン)|フィールドレコーディング
カテゴリー:寄り道 / プラクシス