SECRET WEAPONS

今回は、オヤネンが長らく隠し持っていた道具を紹介する。
それが YAMAHA / Vintage Open Deck だ。

かなり古いが、今でも通用する優れたテープエミュレーターである。
ただし使用には eLicenser というUSBドングルが必要で、しかも供給元の Steinberg がこの認証サービスを終了してしまった。
その結果、旧ソフトを使い続けるには、今後も延々とドングルを挿し続けるという妙な状況が続く。
ソフトウェアを使ううえで厄介なのは、こうした“サービス停止”のリスクだ。
※このエフェクトは Field Recordings | Retro シリーズすべてに使用。


さて、その eLicenser も Nuendo の次回更新とともに手放す予定で、代替品を時間をかけて探した結果、辿り着いたのが Empirical Labs / AROUSOR 。
コンプ機能は使用せず、おまけのソフトクリッピング機能を使用。

オヤネンがこの手のエミュレーターに求めるのはダイナミクスの調整で、三次倍音で尖りを削りつつ、二次倍音で中域の密度を増すこと。
割合としては「二次<三次」。
しっかり突っ込んで効果を利かせるタイプが好みだ。
※このエフェクトは Field Recordings | Colors シリーズすべてに使用。
(主にソフトクリップとして)


さらに倍音研究が進むと、当然ながらアナログ実機が欲しくなる。
以前は Empirical Labs / FATSO や RUPERT NEVE DESIGNS / Portico 543 の導入を検討していたが、関心が逸れている間に為替変動で大幅に値上がりし、買う気がなくなった──ではなく、単純に手が届かなくなった。
それでも欲しいものは欲しいので、現在は SSL / FUSION と RUPERT NEVE DESIGNS / 5057 Orbit に的を絞り、しばらくは為替の様子見、もしくはセール待ちの構えでいる。
そんな折、実機モデリングのプラグインを漁って気を紛らわせていたところ、面白いものを見つけた。
elysia / karacter である。
分類としてはサチュレーターで、楽器入力前提なのか、かなり激しくドライブが掛かる。
気に入ったのは MS 処理ができる点で、パラメータ次第では AROUSOR の倍音に近づけることができた。

そうなると、もう実機を買うしかない。
ラック仕様を購入したが、少し安いキューブ仕様でも良かったかもしれない……。
所感としては、驚くほどの SN 比で、挙動も完全に“電気的”。
これがオヤネンの SECRET WEAPON となるかどうか、今後が楽しみだ。
※このエフェクトは Topos シリーズで使用開始。

アナログ実機の倍音、ドライブ3.3:mix30%(Midのみ)
相対的にドライブ量は控えめで、波形の先が縮れて中域が少し盛り上がる程度.。→Subtle Saturation
INの前にリニアフェイズEQでのローカット(Sideのみ)は必須。

アナログ実機を導入して改めて感じたのは、これまでソフトウェアに振り回されていたという事実。
これからはサービス停止など気にせず、思い切り音響ライフを満喫できる。
アナログ的な技術を磨くことで、それ自体を SECRET WEAPON にしていきたい。
頷いた読者こそ、オヤネンに追随せよ。

<TIPS>
アナログ実機は DA / AD の間に挟んで電気的に歪みを加えるエフェクター。
DA / AD はなるべくピュアな機材を使うのが望ましい。
プアな機材だと意図しない歪みが乗ることもある。
ただし、それが音楽的に“当たり”になることも多々ある。


Author:Mika Ojanen
カテゴリー:寄り道 / プラクシス