今回は、フィールドレコーディング音源の仕上げに使った小技を紹介する。
Field Recordings | Retro シリーズ
習作の中から気に入ったものを集めたシリーズで、作品ごとにマイクもレコーダーもステレオ・アレイもバラバラだった。
その不揃いを均すため、あえて音を“汚す”方向で統一した。
低感度マイク/ハンディレコーダーの自己ノイズ対策
DMGAudio / EQUALITY
リニアフェイズ+アナログカーブで50–100Hzをローカット(LR処理)。
ひどい素材は二度掛けで処理。

低域のモノラル化
WaveLab → MasterRig → Imager
FLUX Analyzerを見ながら、必要最小限の幅寄せ。


ダイナミクス調整
YAMAHA / Vintage Open Deck
テープエミュレーターで一括処理。色付けと軽いコンプを兼ねる。

ヒスノイズの追加
iZotope / RX(アンビエンスマッチ)
A&Dカセットデッキ+マクセルUR+ドルビーBのヒスを抽出し、RXで敷く。
※画像なし、PC更新でヒスノイズの抽出データ喪失。(大して重要ではない!)
最後にWaveLabでラウドネス調整、コーデック処理をして終了。
“チープ”の代償は作業時間に現れ、80作品を仕上げるのはさすがに骨が折れた。
もし今やり直すなら
機材も知識も更新された今、同じことをやる必要はほぼない。
ローカット → 不要
指向性マイクが中心になり、低域はもともと薄い。ゲインも控えめなので自己ノイズは問題にならない。
ダイナミクス調整 → Softube / Clipper
バイアス調整が不要ならこれで十分。ソフトクリップと倍音付加で“アナログ感”は出せる。

ヒスノイズ → NuendoのFXチャンネルにホワイトノイズ
周波数とレベルを整えて、必要なだけヒスを生成。
あとはネタと混ぜてミックスダウン。

せいぜい気張ったところで、こうした違いを聞き分けられるのは同業者くらい。
リスナーにとっては、作品そのもの以外はどうでもいい。
以上、エンジニアのささやかな嗜みの紹介であった。
