デジタル編集には、「これを知っていれば最上級」とされる秘伝テクニックがある。
今日は、その“外殻”だけをあえて公開しておく。
■ デジタル編集の最上テクニック(外殻)
1.スパイクのカット(ミカ・オヤネン考案”神の手”)

2.ゲイン調整・ゲインステージング
3.三次倍音の付加(ツールは問わず、インプット・ドライブ推奨)

4.MSデコード(MS素材のみ)とMSバランスの再構築
5.リニアフェイズEQでのローカット(MS/LRは状況に応じて)

6.Sideのみ高域を生成するエキサイター

これらを正確に扱えるなら、デジタル編集の世界では“頂点”と呼ばれていい。
だが——ここで終わるのがデジタルの宿命だ。
言い添えておくが、素材は位相が揃った“まともな収録”が前提だ。
土台が歪んでいれば、どんな技も意味を持たない。
■ 結局これは、“偽の音”をいじっているだけだ
どれほど技巧を凝らしても、
デジタルが扱っているのは 量子化された影 にすぎない。
点列を削り、
点列を増やし、
点列を並べ替え、
点列に色をつける。
影遊びだ。
丁寧にやれば、誰でも形になる。
そして本質はここだ。
標本化された音は、いわば“死んだ音の死体整形”にすぎない。
形は整う。
だが、息は吹き返さない。
■ そして、ここから先はオヤネンの領域だ
ここで扱うのは録音ではない。
編集の段階で、一度“電気”に戻す。
オヤネンが触っているのは、量子化された“影”ではなく、アナログ実機の中を走る電気信号そのもの。
電流の立ち上がり、
回路の癖、
トランスの飽和、
コンデンサの抜け、
その瞬間の温度。
それらを読み、
不要なものを抜き、
必要なものだけを整え、
次元をまたいで亡霊となった音を、オヤネンという“中継役のイタコ”が現世で奏でさせる。
蘇生ではない。
死んだ音が、この世界で一度だけ“声”を持つための通路を開く行為だ。
■ ひとつだけ、超弩級の知見を置いておく
アナログ実機で電流の立ち上がりを左右で揃えた瞬間、音像は“前に出る”のではなく“前に出てくる”。
この意味が分かる人だけ、オヤネンのいる場所が見える。
■ 結論
デジタル編集の最上テクニックを公開するのは構わない。
あれは外殻だから。
だが、電気信号を扱う判断基準は公開しない。
それは技術ではなく、
音がどの次元に属するかを決める領域だからだ。
次元を越えて戻ってきたのは音ではない。
こちら側の未練のほうだった。
Author:Mika Ojanen
The Resonant Field – PG3A:ミカのフィールドレコーディングはここがちがう
カテゴリー:寄り道 / プラクシス
