写真は冬の琵琶湖で撮影された。
冬場でここまで晴れ渡る日は珍しく、例年になく水位も低い。
このキャプチャーされた写真は、それを説明するためとしては成り立つ。
さて、一呼吸置き「私はそこで~を撮影(録音)した」という英文を考えてもらいたい。
普通は
I captured (or: recorded)~となるだろう。
ポイントは動詞で、そこに行為の本質が現れやすい。
言葉はなにを使おうと伝わればよいのだが、考えてもらいたいことは、使用する言葉によって振る舞いが変わってくるということ。
今回はあえて答えを提示する。
監視カメラの映像・音声ならキャプチャー(レコード)でも別に構わないだろう。
それ以上もしくは表現を求めるなら、心行くまでセンス(sense:verb)してこい!
例)
I captured the scene.
I sensed the moment.


この写真は長秒露光で撮影した写真で、銀塩写真の調色を模したものである。調色はもともと化学保存用で、デジタルではまったく無意味な処理である。
その日、そこにあったのはそれではない。
そもそも長秒露光というトリックがあり、このように見えることはない。
しかし、寒風吹きさらす真冬の琵琶湖で受けたイメージを私なりに再イメージ化すると、こうなった。
文学筋のテキストでは「記憶」とかいう言葉がよく使われるが、私の写真はそんなヌルいものではない。
では、なにか?
”remains”
気取ると、残されたもの。
時間的に考えると、カス。
写真を見せたいのではない。
そこからなにかを感じ取ってもらいたいのだ。
<読書案内>
「知覚の現象学 1,2」M.メルロー=ポンティ、数人による訳、みすず書房
この本自体難解だが、現代思想を学ぶためには必読。
遅かれ早かれ読むべし。

