オヤネンは、音響機器から出る“音そのもの”を信用していない。
現在のシステムは、オーディオIFをハブにしてフルデジタルアンプへ信号を送り、小型モニターを鳴らすだけの、極めて素朴な構成だ。クセはないが、細かなニュアンスの変化は拾えない。(意図的にそうしている)
耳は疲労し、環境に左右され、体調でも変わる。
だから編集判断を耳に委ねない。
すべてはメーターで確認しながら作業を進める。
もはや“耳がなくても編集できる領域”に入っている。
これは自慢ではない。
読者にも、聴覚保護の観点から“耳を守るためのメーター活用術”を共有したいだけだ。
使用ツール
WaveLab 各種メーター
FLUX:: MiRA studio(旧 FLUX Studio Analyzer)
活用術
● ローカット
スペクトログラムで周囲の帯域との馴染みを確認する。
環境音は帯域が密集するため、視覚で判断した方が正確。

● 低域のモノラル化
Nebula を見ながら、低域の“ふらつき具合”をチェック。
フィールド録音は低域が揺れやすいので、耳よりも視覚が早い。

● 波形全般のチェック
ウェーブスコープで全体の動きを監視。
ピークの癖や瞬間的な異常は、波形の方が正直に出る。

● 位相
フェーズスコープでバランスを確認。
真ん丸:理想的なステレオ
横長楕円:不自然なステレオ
縦一本:モノラル
耳で判断するより、図形で見た方が一瞬で理解できる。

フィールドレコーディング音源はそもそも“いじる箇所”が少ない。
だからこそ、プア・オーディオ環境でも編集は十分可能だ。
結論はひとつ。
耳は有限だが、メーターは疲れない。
創作を長く続けるためにも――
何はともあれ、メーターには銭を掛けよ。
